離婚について、厚生労働省の人口動態の統計を見ますと、
離婚件数は昭和40年代から増え始め、
平成15年あたりから徐々に減少してきています。
それでも現在、離婚を選択する夫婦は年間20万組以上います。
(平成29年の推計数は21万2千組)
件数から考えると、離婚は特別なことではなくなったということができるでしょう。
以前は、離婚歴あり、というと社会的にマイナスのイメージを
持たれることが多かったように思いますが、
現在ではそのようなことはなくなったのですね。
それだけ個人の生き方が尊重される時代になってきたといえましょう。
その一方で、今までの生活を成り立たせてきた社会的な規範は
ちゃんと残っていて、それと個人の生き方との間に、
ある種のひずみが生じています。
そこに様々なあつれきが起きているのが現代社会の特徴のひとつといえるでしょう。
離婚をした元夫の親の葬儀に出席するしないという問題も
このあつれきのひとつであるといってもよいのではないでしょうか。
ここでは、離婚した元夫の親の葬儀に行く必要はあるのか、
ということと、もし行くとしたら香典はいくらくらいが相場なのか、
ということに関する疑問にお答えいたします。
離婚した元夫の親が亡くなった場合、葬儀には行った方がいいの?
結論から申し上げますと、行っても行かなくてもよい、
ということになるでしょう。
きちんとした答えになっていないのですが、
葬儀の連絡を受けた時に、その方が置かれた客観的な状況や、
何よりもその方の気持ちがどうなのか、
が判断の際に重要となってくるからです。
客観的な状況というのは、離婚に至った経緯や、離婚後の関係は
どうなっているのかといったことですね。
また、社会的な礼儀というものもここに含まれるでしょう。
DVや金銭問題、不倫など、離婚に至った経緯は様々だと思います。
特に夫のDVが原因だった場合には、身の危険を感じることも
あるなかでの離婚協議であったかもしれません。
その後、元夫の親が亡くなったという連絡を受けた場合、
葬儀に参列するというのは気持ちとしてどうでしょうか。
DV被害の程度にもよるでしょうが、元夫の近くには行きたくない、
というのが偽りのないところではないでしょうか。
もっとも、深刻なDV被害を受けた場合には、
元夫にこちらの連絡先を伝えることはないでしょうから、
このような心配はないかもしれませんが。
問題はそこまで深刻なケースではない場合です。
たとえば、子どもがいて月々の養育費もきちんと支払われているだけではなく、
定期的な面会も行われていて、何らの問題もない場合ですね。
社会的な礼儀という点から考えますと、
行ったほうがよいということにはなるのでしょうが、
あまり気にする必要はないのではないでしょうか。
すでに離婚という手続はすんでいて、
お互いの関係はそこで終わっているのです。
子どもの養育費や定期的な面会というのは、
離婚をするにあたって、子どもの将来のためになされた取り決めですから、
そのために、こちらの行動が制約を受けるというものではありません。
このように考えてきますと、残るのはこちらの気持ちということになります。
色々あったけれど、今はわだかまりはない、というのであれば、
一般の会葬者として参列してもよいのではないでしょうか。
ひとつの判断基準として、今後、相手方と関係を続けていくか否か
ということを考えてもよいかもしれません。
続けていくのであれば参列してもよいでしょうし、
子どもの養育期間が過ぎた時点で、
関係を終わらせるのであれば参列しなくともよいでしょう。
葬儀に行く場合、香典の相場はいくら?
香典につきましては、知人の葬儀に参列する場合の金額でよいのではないでしょうか。
具体的には、5千円ないし1万円というところです。
インターネット上では、義父母については3万円から5万円
という金額が掲載されているサイトもありますが、
離婚をしてすでに縁は切れている以上、
知人に対する扱いでよいでしょう。