雲一つない青空をゆうゆうと舞う鯉のぼり。
端午の節句の風物詩として昔からなじみぶかい光景です。
大切な我が子の成長を願う親の思いが、
鯉のぼりという一つの形となって
さわやかな五月の大空にゆらめく・・・
見ていて、気持ちがよくなりますね。
ところで、晴れた日であればよいのですが、
雨が降った日など、鯉のぼりはどうしますか。
しまったほうがよいのでしょうか。それとも、
そのままにしておいても大丈夫なのでしょうか。
さらには、風が強く吹く日や夜中など、
出しっぱなしにしておいてよいのでしょうか。
考え出すと、いくつも疑問が浮かんできます。
実際、鯉のぼりの取り扱いについては、
いろいろとお悩みをお持ちの方も多くいらっしゃるようです。
そこで今回は、鯉のぼりに関するそんな疑問にお答えいたします。
鯉のぼりは雨の日や強風でも出しっぱなしで問題ないの?
結論から申し上げますと、しまったほうがよいです。
鯉のぼりはポリエチレンやナイロンの生地で作られています。
両方とも雨で色落ちすることはないのですが、
ナイロンで作られた鯉のぼりは濡れた生地が
重なってしまうと、その場所が色移りしてしまう
ことがあるからです。
また、雨にあたって色落ちすることがないとはいっても、
そのままの状態で放置することによって、
材質が劣化し、傷みが早くなります。
決して安い買い物ではありませんので、
長く使われるのであれば、
こまめに出し入れされるのがよいでしょう。
そのため、天気予報などをあらかじめチェックして、
雨になりそうであれば、鯉のぼりはしまうことをおすすめいたします。
また、強い風が吹く日には、鯉のぼりは
しまったほうがよいですね。
特に現在のように地球温暖化の影響によって
吹く風の勢いが以前よりも強くなっている状況では、
風によって鯉のぼりが飛ばされてしまうおそれが
十分にあります。
そこまでいかなくても、近隣の住宅の建物の
一部に触れたりすると、ご迷惑にもなります。
特に電柱や電線に引っ掛かってしまいますと、
危険ですので勝手に取ることができなくなってしまいます。
さらに、夜間も鯉のぼりのはためく音や、
支柱の先端に付いている矢車のカラカラいう音が
日中より響きますし、盗難のおそれもありますから、
しまったほうがよいでしょう。
鯉のぼりの大きさを考えますと、
出し入れに手間がかかって大変だと思います。
しかし、そこは大切なお子さんの成長を祝うためと割り切りましょう。
ただ、鯉のぼりにも屋外用だけではなく、
屋内にも置ける小さなタイプのものがありますので、
お仕事などで家にいる時間が少なく、
頻繁に出し入れすることが難しい方は、
そちらの製品を選ばれるのもよいかもしれません。
鯉のぼりは何歳から何歳まで飾るのでしょうか?
鯉のぼりを飾らなければならない年齢は
特に決まっていないようです。
もともと、武士の間で男の子の成長と立身出世を願う行事が、
鎌倉時代から端午の節句として行われていました。
江戸時代になって、町人が社会的な力をつけてくると、
それまで武家の間で行われていた端午の節句の行事が
町人の間でも行われるようになりました。
その際に掲げる幟を、中国の古典にある竜門の滝の故事にちなんで、
鯉の形にしたところから、鯉のぼりと呼ぶようになった
とされています。
ちなみに竜門の滝の故事というのは、
中国の黄河にとても流れの早い滝があり、
たくさんの魚の中でそこを登り切った鯉が竜となった
という言い伝えです。
そこから鯉が立身出世の象徴とされるようになったというものです。
鯉のぼりにはこのようないわくがあるのですが、
そのなかに、鯉のぼりを飾る年齢を何歳から何歳まで
と決めたとする話はありません。
子供が無事に成長したことを祝う七五三の行事にちなんで
七歳までとか、あるいは昔の元服の年である十五歳まで
とかいった説明がされることもありますが、
いずれも昔からの決まりではないのですね。
実際に、インターネット上で調べてみますと、
子どもが小学校に入学するまでは飾るけど、それ以後は飾らない、とする方や、
鯉のぼりを飾ることを子どもが恥ずかしがりだしたら止めるという方、
逆に子どもの年齢に関係なくいつまでも飾り続けるという方など
対応は人によって様々です。
鯉のぼりを飾る年齢は、各家庭の考え方に委ねられている
といってよいでしょう。
鯉のぼりは、五月人形と同じ縁起物ですから、
その取り扱いについてはあまり窮屈に考えず、
ご自身のお住まいやご家族の状況を見ながら決めてよいと思います。