割れてしまった陶器の置物の修復や
レジンアクセサリー作りなど、出番の多い瞬間接着剤。
「瞬間」という名前を冠しているだけはあり、
その絶大な効果を実感している方も多くいらっしゃるかと思います。
便利な瞬間接着剤ですが、作業中に服や机、肌に
ついてしまうとやっかいですよね。
今回はそんな「うわっ!瞬間接着剤がついちゃった!」
というトラブルを解決するための方法をご紹介します。
服の素材によって落とし方も変わってきますので参考にしてくださいね。
洋服についてしまった瞬間接着剤の落とし方はこうしよう!洋服の素材によっては注意!
現在販売されている瞬間接着剤のほとんどは、
強力な接着力を持つ「シアノアクリレート」
という有機化合物を主成分としています。
シアノアクリレートによる強力な接着を溶かすには
「アセトン」という成分が必要。
アセトンの原液がホームセンターで販売されていますが、
マニキュアの除光液にもアセトンが含まれています。
アセトンを含む除光液が自宅にある場合は使ってみてください。
瞬間接着剤が洋服についてしまったときの対処法
用意するものはアセトンが含まれる除光液、そしてガーゼです。
ガーゼは使うたびに取り替えるので、15枚ほどあればいいでしょう。
アセトン原液には揮発性のアルコールが多く含まれており、
直接吸い込むと体調が悪くなる可能性があります。
また、直接触れると炎症やかゆみのもととなるため危険です。
もし除光液がなく、アセトン原液を使うときは使い捨てのマスクと
ポリエステル製の使い捨て手袋を必ず着用してくださいね。
それでは手順をご紹介します。
①:瞬間接着剤がついてしまった場所にガーゼを2~3枚乗せる
②:残ったガーゼ1枚に除光液(またはアセトン原液)を染み込ませる
③:重ねたガーゼの上から除光液(またはアセトン原液)を染み込ませたガーゼでトントンと洋服に叩き込む
④:①~③の手順を、ガーゼを取り替えながら2、3回繰り返す
⑤:軽く水の中でもみ洗いをし、洗濯機で洗濯する
瞬間接着剤が洋服についてしまったときの対処法でした。
しかし、瞬間接着剤がついてしまったときに自宅で
対応してはいけない洋服もあることはご存知でしょうか?
服の素材によって落とし方が異なるのです。
次の項目でご紹介します。
瞬間接着剤がついても自宅でクリーニングできる服は?
●ポリエステルやナイロンなど化学繊維の服
化学繊維は熱や摩擦に強いため、
もみ洗いをしても表面が毛羽立ちにくくなっています。
またアセトンの強力な溶かす力にも耐えることができるため、
さきほど紹介した除光液やアセトン原液を使った
クリーニングを自宅で行なっても大丈夫なのです。
●化学繊維と綿が混合している服
ポリエステルやナイロンといった化学繊維と綿が
混合した生地の洋服をお持ちの方も多いかと思います。
こういった洋服の場合、化学繊維の割合が多ければ
先ほどのクリーニングを自宅で行なっても大丈夫。
ただし、ズボンのポケット部分など綿100パーセントの部分に
瞬間接着剤がついてしまった場合は、
自宅でのクリーニングはおすすめしません。
瞬間接着剤がついたらクリーニングに出したほうがいい服は?
●摩擦に弱く毛羽立ちやすいニットやレーヨン、または綿など天然素材の服
冬には重宝するニットですが、瞬間接着剤がついてしまうと
どうしても「もみ洗い」をすることになります。
洋服の生地どうしをこすり合せるもみ洗いは、
摩擦に弱く毛羽立ちやすいニットには向いていません。
素材がカシミヤや羊毛のような動物の毛であっても、
ポリエステルなど科学繊維を使ったニットであっても、それは同じです。
レーヨン生地もニットと同じく摩擦に弱いため、気をつけましょう。
また、動物の毛や綿など天然素材の生地を使った洋服にも
さきほどのクリーニング方法はおすすめできません。
摩擦に弱いのはもちろんのことですが、
瞬間接着剤の主成分であるシアノアクリレートは
綿や天然皮革、羊毛などに接着すると強い熱を発してしまいます。
また刺激臭のある白い煙がたつこともあり、危険です。
もし100%天然素材の洋服に瞬間接着剤がついてしまったら、
まずは洋服を脱いでやけどを防いでください。
もちろん、自宅でのクリーニングも危険です。
●瞬間接着剤を落とす「アセトン」と相性の悪いアセテート繊維の服
アセテート繊維とは、アセチルセルロースという合成樹脂から作られた繊維です。
柔らかく光沢のある肌触りとなり、絹(シルク)を再現できる
ことからオシャレ着やパーティードレス、カーテンなどによく使われています。
しかしアセテート繊維は、瞬間接着剤を落とす成分「アセトン」
によって溶かされてしまうため、
除光液をちょっとつけただけでも生地が溶けて穴があいてしまうことも。
アセテート繊維を使ったオシャレ着やパーティードレスに
うっかり瞬間接着剤をつけてしまった場合は、
クリーニング店で専門的な処置をしてもらいましょう。
プラスチックや金属、木、手についた瞬間接着剤の落とし方は?
手についてしまった場合
瞬間接着剤が手についてしまった場合は、
40℃程度のお湯に手をつけ、
ゆっくりとこすり落としましょう。
それでも取れない場合は、軽石でこすると落ちやすくなります。
ですが手についた瞬間接着剤は、
そのまま放っておいても自然に取れることケースが多いのです。
お子さんが指や手をなめてしまう!という場合でない限りは、そのままでも大丈夫。
木についてしまった場合
木製の家具や木材に瞬間接着剤がついてしまった場合も
洋服と同じくアセトンを使います。
しかし家具がワックスなどでコーティングされている場合は
コーティングごと溶けてしまうおそれがあるため、
目立たない場所でパッチテストをしてみてから使いましょう。
家具のワックスを落としたくない場合は、
サンドペーパー(紙やすり)を使ってみてください。
目の粗いものから使ってゆき、
削りとれない場合は少しずつ目の細かいものへと変えていきます。
サンドペーパーで瞬間接着剤を落とすときは
強くこすりすぎないよう気をつけましょう。
金属についてしまった場合
金属についてしまった瞬間接着剤も、アセトンを含む剥離剤で
はがすことができます。
木と同じく目立たない場所でテストをすることも重要ですが
もしサンドペーパーがあれば瞬間接着剤を
少し削ってから剥離剤を使ってみましょう。
プラスチックやガラスについてしまった場合
瞬間接着剤を溶かす成分であるアセトンは、強力な溶解剤です。
プラスチックはアセトンで溶けてしまうため、
もしプラスチック製の食器に瞬間接着剤がついてしまった場合は、
アセトンを含む剥離剤は使えません。
お湯にひたしたふきんや布で瞬間接着剤をふやかし、
地道に拭き取るのが一番安全な方法でしょう。
消毒用アルコールを使うこともできるようですが、
こちらも目立たない場所でテストをするのを忘れずに。
ガラスに瞬間接着剤がついてしまった場合は、
カミソリの刃を使ってみてください。
少しずつ削り取ることができるはずです。
それでも残ってしまった場合は、プラスチックと同じように
お湯にひたしたふきんや布で拭き取ることができます。
まとめ
瞬間接着剤がついてしまった素材別に対処法をご紹介しました。
いかがでしょうか?
便利な瞬間接着剤ですが、ついた場所によっては
かなりやっかいなことになってしまいますね。
瞬間接着剤を購入するときは剥離剤をあわせて購入し、
万が一のときに備えておきましょう。
クリーニング店に出すときは
「瞬間接着剤がついてしまって、落としてほしい」
ということをきちんと申告すれば、適切な処置をしてもらえます。