入出金の管理を複数の口座を使って行いたいという理由から、
同一の名義で複数の口座を作りたい、とお考えの方は多いかもしれません。
たとえば、一方は給与などの振込用、一方は社会保険料、電気、ガス、水道代など
といった生活費の支払用として口座を使い分けたいという具合ですね。
しかし、同一名義で複数の口座を作ることはできるのでしょうか。
インターネット上では、そんなの簡単、という声から、難しいよね、
という声までいろいろあります。
それでは実際にはどうなのでしょう。
ここでは、同一名義の複数の口座を作ることができるのか否か、
また、作ることができるのであればその方法にはどのようなものがあるのかについて、
ゆうちょ銀行とゆうちょ銀行以外の二つに分けてご案内いたします。
ゆうちょ銀行は同一の名義で口座が複数作れるのでしょうか?
ゆうちょ銀行のホームページには、詐欺による被害の防止のため、
同一の名義で複数の口座を作ることはできない、と記載されています。
振り込め詐欺やマネー・ローンダリングなど、
金融機関の口座を利用した犯罪の事前防止のために必要な措置というわけです。
しかし、その一方で、同一名義の口座を複数持っている方がいます。
どうしてそのような違いがあるのでしょうか。
理由は歴史的なものです。
郵政民営化によって、ゆうちょが発足する以前の郵便局では、
同一の名義による複数の口座を作ることはできませんでした。
しかし、郵政民営化後、この規制が撤廃されました。
その時に、同一名義の口座を複数作った方がいたわけです。
その後、振り込め詐欺等の増加によって、同一名義による複数口座の開設には
再び規制がかけられるようになりました。
複数の同一名義の口座を持っている方がおられるのはこの理由によるものです。
だけど、それって不公平じゃないの?
と思われる方もおられるのではないでしょうか。
ご安心ください。
口座を利用するにあたっての制限はあるのですが、
ゆうちょ銀行で同一名義の口座を複数作ることができる方法はあります。
その鍵となるのが利用目的によって異なる口座の存在です。
ゆうちょには貯金の目的によって次のように6種類の口座があります。
1 通常貯金
2 通常貯蓄貯金
3 定額貯金
4 定期貯金
5 財産形成貯金
6 振替口座
これらのうち、同一名義の口座を複数作ることができないのは、同じ種類の口座です。
たとえば、通常貯金で同一名義の口座を複数作ることはできませんが、
通常貯金とは別の種類の口座であれば、造ることができるのです。
預金の入出金管理という点からいえば、通常貯金は預金の出し入れを
自由に行うことができる口座ですから、
これと似た機能を持つ別種類の口座を同一名義で作ればよいわけです。
それが2の通常貯蓄貯金と呼ばれる貯金口座です。
通常貯蓄貯金は、通常貯金と同じく預金の出し入れは自由ですし、
通常貯金と比べて金利も高くなっています。
振替口座と併せることで総合口座としての利用もできます。
預金の出し入れという点では通常貯金と遜色ないといえるでしょう。
ただし、この口座の利用にはいくつかの制限があります。
預金が10万円を下回っている場合、金利が通常貯金よりも低くなりますし、
給与の振込や公共料金の引き落としができません。
このような制限はありますが、通常貯金口座と併せて利用することで、
同一名義による口座の開設ができ、預金の入出金管理については
十分に利用できるものとなります。
同一名義で複数の口座を作ろうとされる際には、検討に値すると思います。
もっとも、この方法でも作れるのは2つまでですから、
それ以上となると難しいかもしれません。
それ以上の口座開設を望まれるのであれば、ゆうちょ銀行の窓口で
その理由を説明していただくことになります。
しかし、その場合、窓口で断られることがあり、
口座の開設が認められるといった保証は、残念ながらありません。
ゆうちょ銀行以外の銀行の場合はどうなの?
銀行の場合も、同一名義の口座を複数作ることについては難しいようです。
そうかといって絶対に作ることができない、というわけででもないようです。
少しあいまいですが、銀行によって取扱いが異なっているため、
このような答えになってしまうのです。
その理由は、複数口座の開設を認めていない銀行と、
口座開設の際に理由を聞いて、そのうえで判断をする銀行とに
分かれているからです。
そのため、銀行に複数口座の開設が認められているか否かについて
確認をすることが必要です。
できるのであれば、複数口座開設の理由をしっかりと説明して
口座を作るということになります。
まとめ
いかがでしたか。
ゆうちょや銀行で、同一名義の口座を複数作ることができるのか否かについて
ご案内させて頂きましたが、ご理解頂けましたでしょうか。
この問題につきましては、金融機関によって対応が違いますので、
まずは最寄りのゆうちょ銀行もしくは銀行にご相談頂くことをおすすめいたします。