日本に昔からある神社とお寺。
初詣やお墓参り、七五三にお宮参りなど、その存在は私たちの暮らしのなかにとけこんでいますよね。
けれども、神社やお寺の由来や作法などはご存知でしょうか。
あまりにも身近にありすぎて考えたこともない、という方もいるかもしれませんね。
しかし、それらの違いについて知ることで、私たちが祖先から受け継いできた伝統を再発見することができます。
それによって、私たちが神社やお寺にお参りする意味もわかり、それらをより身近なものとして感じることができるでしょう。
ここでは、神社とお寺の由来と作法について解説します。
神社とお寺って歴史的にみるとどちらが古いの?
日本の歴史という点から考えると、神社のほうがお寺よりも古いということができます。
お寺が基盤としている信仰は外国から伝来した仏教であるのに対して、神社のそれは日本古来の霊魂や自然を崇拝する信仰を基としているからです。
日本の神様をさして、八百万の神々という言葉がよく使われます。
それは正確に数えることができないくらい多くの神様が日本にはいることを八百万という数字で表しているのですね。
その理由は山や川、石や樹木といった目に見えるすべてのものに神性を見出してきた日本人の宗教観によるものなのです。
言い換えれば、日本人はすべてのものに神様が宿ると考えてきたわけです。
そのため、日本では昔から特定の山や川を神様の住まいとして神聖な場所とすることや、特殊な形をした石や樹木を神様が宿っているものとして信仰の対象とするということが行われてきました。
場所について言えば、注連縄を張ることで、そこは他の場所から区別されました。
注連縄の内側は結界と呼ばれて神様の住む神聖な領域とされ、不用意に人間が入ることは許されなかったのです。
この場所では神様を祀る行事が行われました。
しかし、常時、神様を祀る社があったわけではありません。
行事を行うたびごとに新たな社が建てられていたのです。
その状態から常時、神様を祀る施設として神社が建てられるようになってきたのですね。
ただし、神社という呼び名は、社がなかった時代からありました。
建物がなくても、神様のいる神聖な場所をさして神社と呼ばれていたのです。
神社は日本人が神様の宿る場所を考え始めた時から存在していたのでした。
これに対してお寺は、冒頭で紹介したように海外から仏教が伝来した後に建てられ始めたものですから、当然、神社より歴史が新しいものとなるのです。
神社とお寺で作法はどのように違うの?
信仰の対象となる存在が違うため、神社とお寺の作法には違いがあります。
代表的なものは参拝の作法です。
神社の場合、鳥居をくぐる前に社殿の方向に一礼します。
これは神様への挨拶と考えてよいでしょう。
その後、神様が安置されている社殿に向かう参道を歩いていくのですが、その際には、真ん中ではなく、端を通ります。
参道の真ん中は正中と呼ばれ神様が通る道とされているからです。
入手水舎があれば、そこの水で両手を清め、口をすすぎます。
続いてご神前の前にある賽銭箱に心を込めて賽銭を入れ、二礼二拍手一礼と呼ばれるやり方でお参りをするのです。
このお参りのやり方は、初めにお辞儀を二回繰り返した後に二回柏手を打ち、最後に一回お辞儀をするというものです。
お寺の場合、鳥居の代わりに山門と呼ばれる門をくぐります。
その際には一礼します。
その後、手水舎があればその水で両手を清め、口をすすぎます。
常香炉がある場合にはその煙で体を清めます。
次に賽銭箱に賽銭を入れるのですが、その際には投げ込むのではなく、そっと入れるようにしましょう。
続いて本尊に向かって合掌します。
神社のような二礼二拍手一礼といった形はありません。
ここが神社と大きな違いとなります。
その後に一礼をして帰るのです。
まとめ
神社とお寺の由来と参拝の作法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
日本の歴史上、神社の起源はお寺よりも古いものです。
また、作法については同じもの、違うもの両方あります。
日本では神仏習合といって、神様への信仰が仏教に包含されてきた歴史があります。
そのため、神様も仏様も同じものとして認識されてきているのですが、信仰の対象として登場してきた歴史的な背景が違っているために、このようなことが起きるのですね。