梅干と聞いただけで口の中に唾液がたまってくる感じを
持つ人も多いのではないでしょうか。
実際に、朝起きた時に一口食べると、強烈な酸っぱさが口の中いっぱいに
広がって目が覚める思いがしますよね。
そんな梅干しですが、どのくらい日持ちがするのか、ご存知ですか。
イメージとしては、冷蔵庫で保管しておきさえすれば、
1年や2年放っておいても平気な感じがしますが、実際はどうなのでしょうか。
そこで、ここでは、梅干しってどのくらい日持ちがするのか、
また、もしも腐ってしまった場合の見分け方にはどのようなものがあるのか
について解説します。
梅干しって常温だとどれくらい日持ちするの?
まず初めにお断りしておかなければならないことは、
梅干しには作り方によって2つの種類があるということです。
ひとつは、梅干しを塩でつけこんで、天日で干した昔ながらの製法で作られた梅干し。
もうひとつは、現代人の好みにあうように様々な調味料を加えて作られた梅干し。
このような作り方の違いによって、梅干しの日持ちも違ってきます。
梅干しを塩でつけこんだ昔ながらの製法で作られた梅干しは、
保存状態がよければ常温でも10年以上日持ちがします。
古いものでは天正4年(1576年)につけこまれた梅干しが残っています。
天正4年といえば、その前年の天正3年には有名な長篠の戦いがあり、
天正6年には上杉謙信が死去するなど、戦国時代真っ只中。
そんな時代の梅干しが残っているわけです。
当時はもちろん冷蔵庫などありません。
この事実から考えると、昔ながらの製法で作られた梅干しは
常温でも半永久的に保存できるといってよいでしょう。
一方の様々な調味料を使用して作られた梅干しの保存期間は約180日間。
ちなみにこのタイプが、現在、スーパーなどで販売されている
一般的な梅干しであって、保存期間については、冷蔵庫での保管が前提となります。
半永久的に保存可能な梅干しに対して、一方は180日間。
大きな違いがありますが、この差は梅干しをつけこむ際の塩分量によるものです。
一般的に昔ながらの製法による梅干しの塩分量は20%。かなり塩辛くなります。
それに対して、調味料を加えた梅干しの塩分量は10%ないし8%です。
約半分以下ですね。
この違いが意味するものは次の通りです。
塩は水分を吸収する性質をもっています。
この性質によって、塩がふりかかった食品の水分が塩に吸収されます。
水分が失われることによって、その食品に付いていた微生物の
生育環境が破壊され、微生物は死滅します。
また、食品自体の水分がなくなるために、食品のもつ自己消化作用が
抑えられ腐敗の進行が遅くなります。
食品は何もせずに放っておいても腐敗していきますが、
この現象を自己消化作用と呼びます。
つまるところ、塩自体には殺菌力はないのですが、
塩がかかった食品の水分を吸収することで雑菌を殺すため、
その食品の劣化を防ぐことができるわけです。
そのため、塩分量が多ければ、塩のもつ殺菌作用もそれだけ強くなります。
塩分量20%という昔ながらの塩辛い梅干しの保存期間が
半永久的というのもこの理屈からです。
一方で、塩分量10%以下ではそこまでの殺菌作用はありません。
そのため、各梅干しメーカーから販売されている調味された
梅干しの保存期間は約180日となっているのです。
梅干しが腐った時のサインは?
梅干しも腐ります。
調味された梅干しだけではなく、半永久的に保存が可能とされる
昔ながらの製法で作られた梅干しであっても、
保管方法によっては腐ってしまうのです。
たとえば、温度や湿度が高い場所に置いたり、入れ物のふたが
しっかりとしまっていなかったりすれば、雑菌が繁殖し、
梅干しの腐敗も進みます。
塩のもつ殺菌作用にも限界があるわけですね。
そこで、梅干しが腐った時のサインについて解説します。
梅干しが腐ってしまったのか否かを見分けるサインとしてわかりやすいのは、
梅干しの表面にカビが生えているかいないかを確認することです。
ただし、梅干しに生えるカビは白いため、ちょっと見ただけではそれがカビなのか、
梅干しが塩をふいているだけなのか見分けがつかないことがあります。
そこでひとつの方法として、その梅干しを湯につけてみるというものがあります。
梅干しについた白いものが溶けてなくなるのであれば、
それは塩の塊、そうではない場合にはカビの可能が大というわけです。
もうひとつの梅干しが腐った時のサインとしては酸っぱさの混じった、
おかしな匂いがすることがあげられます。
このような、匂いがする場合にはその梅干しは腐っていると考えてよいでしょう。
まとめ
梅干しは昔ながらの製法で作り、保存方法さえ誤らなければ
半永久的に保存が可能な食材です。
ただし、私たちが日常的に目にする調味された梅干しには
消費期限が設けられています。
それは梅干しに含まれる塩分量の違いによるものです。
日持ちするという点では、塩分の高い昔ながらの梅干しのほうがよいと思いますが、
食材として利用するという視点でみると、どうでしょうか。
毎日の食生活を豊かにするためには、どのくらいもつのかというよりも、
どちらがおいしくいただけるのか、といった視点をもつことのほうが
重要かもしれませんね。